京都の印刷会社「グラフィック」の「デジタルオフセット」について

株式会社グラフィックは、いわゆるネット系の印刷会社さんで、安価な料金と、相応のクオリティで評価されてきた印刷屋さんです。当方も何度も発注したことがあります。

ただ「デジタルオフセット」という印刷方式を導入したことで、ちょっと物議を醸している模様です。

https://www.facebook.com/kaori.nakashima/posts/10206409795344672
(一部引用させていただきます)
「デジタルオフセット」なる印刷方式を導入したのですが、これの品質が通常のオフセット印刷と比較して明らかに劣るのです。
——–ここから問合わせ内容——-
1.この話はほんとうでしょうか(デジタルオフセットの網点品質がオフセットより劣ることは承知しておりますので、デジタルオフセットでも品質は変わらないと言うご返答はご勘弁下さい)
A. 弊社ではデジタルオフセット印刷を導入いたしました。

2.デジタルオフセットかオフセットかを指定することができるようにはならないのでしょうか。その場合、価格が変わっても構いません。
A. 現状ご注文時にオフセット印刷かデジタルオフセット印刷を指定いただくことはできません。現状は弊社任意となります。

オフセットとデジタルオフセットは印刷方式自体が違うと考えた方がいいと思います。デジタルオフセットといってもいろいろな方式があるので、どれか確認したかったのですが、社外秘ということでした。通常は、湿式トナーで版を起こさない方式をさすことが多いです(Indigoとか)

まず当方は、その「デジタルオフセット」で印刷された印刷物を確認していない状態なのであれですが、ここまで非常に評価の高かった「グラフィック」の印刷顧客さんたちから一斉にブーイングが出たことを見ると、相当に低いクオリティのようです。


デジタルオフセット印刷というものについて

私も今回初めて耳にした印刷方式であり、また「グラフィック」が具体的にどの「デジタルオフセット」を使用しているのかは社外秘と言うことですので、とりあえず他社のデジタルオフセット説明ページをを調べて見ます。

http://www.superprint.jp/company/company_01_co7.asp

スーパープリントでは、「デジタルオフセット」と「フルオフセット」の2つのオフセット印刷方式を採用しています。デジタルオフセット印刷とは、米ヒューレットパッカード社の「hp indigo press」機および米コダック社の「NexPress」機を用いた印刷方式です。特に、弊社主力機のindigoはオフセット印刷方式と同様の、液体インクを採用した画期的なデジタル印刷機で、従来の「オンデマンド方式」と「オフセット方式」の長所を兼ね備えています。

私たちは、このindigo pressとNexPressを用いた印刷を「デジタルオフセット印刷」、従来のオフセット印刷機を用いた印刷を「フルオフセット印刷」と定め、用紙やご注文枚数などの適性により、これらを使い分けています。(各用紙ページに使用する印刷機を記載しております) 両者の印刷品質には、大きな違いはなく、私たちでもルーペで網点を観察しないと見分けることは難しいくらいです。 (ただし、同じデータで印刷しても、機材自体が異なるため、色の再現性などは同じにはならず、特性も異なります)

○ 正確な色再現がしやすい
○ ロット間での色ムラが起きにくく、色味が安定しやすい
△ K100%の文字や線が、データより少し太めになる
× 版ズレが起きやすい(Y版とM版)
× グレーや薄い色の塗りに網点が目立ちやすい
× グレーや薄い色の線、文字、輪郭にジャギーがでやすい

要は、オンデマンド印刷の高性能版という位置づけのようです。印刷会社が導入するメリットとしては、少部数では版が不要でコストダウンにつながるからでしょうね。


当方としての見解

オンデマンド印刷も、黎明期からすると大きく進歩してきたと思いますし、部数によっては大きくコストダウンが可能です。今後も技術発展して行くでしょうし、用途によっては現時点でも有望な選択肢とありうると考えます。

ただ、「デジタルオフセット」か「オフセット」か、納品が上がってくるまで分からないというのは、ここまで品質管理で信頼を集めてきた印刷所さんとしては、信じがたい方針転換ですね。

印刷会社さんの商売は、印刷機という非常にコストのかかるものを如何に止めずに動かし続けるか、というビジネスモデルであるわけです。そのために納期が長くなるほど価格も安くなる、すなわち面付け等で他の案件と同時に刷ることで、コストを抑えるということをやっているのだと思います。
それを押し進めて、大量印刷に向いたオフセットと、小部数だと安価なデジタルオフセットを組み合わせることで、さらに低コストを目指すことにしたのだと考えられます。
そこで問題になるのは、今までの品質を求めていた顧客を、完全に無視していることですね。

コストダウンへの意欲そのものは否定しませんが、印刷のプロから見て「これはオフセットとはいえないだろう・・」という品質のものを、オフセットのように扱うこと。また通常の発注をしていれば、気付かないように紛れ込ませていることには違和感を感じます。

特にクライアント様から受注した案件を、「グラフィック」社へ印刷を発注するということは、とても怖くて難しい状況かと。
社会情勢の変化もありますし、コストダウンを目指すことは企業の存続として重要なことだと理解しています。ここでグラフィック社に望むことは、現状の価格よりも騰がってもよいからオフセットを確約するプランをご用意いただきたいことだけですね。それが出来るまではプリントパックに発注せざるを得ないかと。

【追記:2015/7/13】
コメント欄から「プリントパックもフライヤーその他の価格表ページに※100部~3000部までの商品は、オフセット印刷機または最新鋭オンデマンド印刷機で印刷させていただきます。印刷方法につきましては、弊社におまかせください)」と記載があると、コメントをいただきました。こちらはリサーチ不足で気付かなかったところでして、ご指摘いただきありがとうございました。

また、以前にグラフィック社で印刷した案件の増刷依頼があり、グラフィック社に問い合わせをしたところ、以下のような返答をいただきました。印刷仕様によっては、オフセット印刷を確約いただいた形で依頼することが可能なようです。

・今回の数千部の部数で、さらにグラフィックビジョン指定(有料) の仕様であれば、現状はオフセットでお承りする仕様である

印刷コストとしては、少部数だと「デジタルオフセット」が優位で、大部数だと「オフセット」が優位になると思いますんで、相応の部数印刷であれば印刷会社としても「オフセット」で刷るであろうことは当然と言えば当然ですね。

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コメント

  1. ボレルス より:

    プリントパックもフライヤーその他の価格表ページに
    「※100部~3000部までの商品は、オフセット印刷機または最新鋭オンデマンド印刷機で印刷させていただきます。
     印刷方法につきましては、弊社におまかせください)」
    等と書いてあります。
    記事の趣旨はわかりますが、この文脈でグラフィックの代替としてプリントパックを推すのは認りではないかと思います。
    なお、こうした印刷方法の混在はグラフィック、プリントパック以外の競合他社いくつかでも同じような状況があります。

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